暑い日が続いている。
その暑さを蝉の声が助長していると思っているのは私だけだろうか。
その蝉だが、この間階段を下りていると耳元でやたらと大きく声が聞こえてきた。ふと横を見ると、階段の柱に蝉がいて全力で鳴いている。近づいても一向に逃げるそぶりを見せない。人に慣れた蝉なのか、鈍感なだけなのか。のんびりした性格なのだろう。
そんな蝉以外にも夏の日になると思い出す生き物がいる。こちらは、逃げられてしまった話。
雨上がりの朝のことである。
自転車で会社に向かう途中の道路に何やら見かけない光景があった。
直径1m程度の円の中に何かが密集している。少し離れたところで自転車を止めて眺めていると、それがスズメであることが分かった。おしくらまんじゅうでもしているようである。
携帯を取り出し写真(当時はまだ写メと言われていた時代)を撮ろうとした時に、一斉にスズメ達が羽ばたいていってしまった。
後に残ったのは浅い水たまり。どうやら集団で水浴びをしていたようだ。冬場のサルやカピパラが温泉につかる心理と同じだろうか。それにしては密集しすぎている感じではあった。
それ以来、スズメのおしくらまんじゅうに遭遇していない。写真を撮れなかったのが心残りである。蝉のように鈍感であってくれたら良かったのに。
あの光景に会えることを楽しみに、暑い夏を過ごしている。
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