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「dele」本多孝好 感想/将来に向かって生きる

死後、消したいデータはあるだろうか。そんなことを気にしながら、読み始めました。ここ十数年でデジタル空間を個人が多く使うようになりました。大量の個人情報が、死後もほっとくと残ることになります。そんなデータを、死後、消してくれる人たちの話です。

データを消すことを職業にしているのは、主人公のケイと祐太郎。その他には、ケイ曰く変態の姉が登場します。色々な思いを持った依頼人が、データ消去を依頼し物語が展開されていきます。

5つのデータにまつわる話が書かれた連作作品です。

消去するデータには、いったい何が隠されているのか。その謎が気になり一気に読み進めました。謎を追う中で、ケイと祐太郎、それに、ケイの姉も加えたかけあいがコミカルでもあり、はっとさせられる言葉が混じっていたりして飽きずに読めます。データだけでなく、依頼人周辺の人間関係も明らかになり、誰かのために生きることを考えさせられました。

5つの話の中で、一番良かったのは、女性の依頼人の話です。将来に向けて生きることとだけでなく、誰かの将来を考えて見守ることも大切だとあらためて思いました。前段の伏線もあり、データを消す理由が分かると、思わず顔がほころびました。川口俊和さんの「この嘘がばれないうちに」の病気の男性の話と通じるところがあります。希望を自分にも相手にも持たすこと。前向きになれて心地よかったです。

本多孝好さんは、よく読む作家の1人です。伊坂幸太郎さんみたいなテイストで、もう少し人間味がある話というイメージです。伊坂幸太郎さんの最新作は、今まさに読んでる最中です。